二郎
最近かくかくしかじかで、スマホを使えていない。
わたしがスマホを使えなくなってそろそろ3日目。
夜風にあたりながら、そわんわん(20代前半、自称微容系YouTuber、元気が出る)の動画をみるのが日課だったのに…
わたしは極度の寂しがりやで、人の声がないと不安になる。
だから勉強をするにも、人が3人以上いる場所じゃないとできないし(2人だとおしゃべり欲がまさって勉強できなくなる)
家で一人でいるときは動画を視聴するのが常である。
わたしの生活にこれほどまで音がないのは、はじめてのことかもしれない。
今聞こえる音といえば、夜になって慎ましやかに鳴くセミと鈴虫の声くらいである。
昨晩はそんな虫たちの声をバックに、手持ち無沙汰だったので本を読んだ。活字嫌いのわたしにしては珍しく、長編小説をひとつ読み終えた。
今は『小野二郎セレクション』を読んでいるところである。
小野二郎はウィリアム・モリスの研究で著名で、モリスを出発点にイギリス文化に精通していたようだ。本著は彼が経験したイギリスについて資料を織り交ぜながら語られている。
この資料と経験の織り交ぜ方が絶妙で、知性と感性のバランスが優れた人だったのだろうな、と思わされる。
THE学問といった内容ではないし軽い文体だが、読み応えがある。とてもいい本に出会った。
2年前くらいに購入してなぜかずっと読む気になれず、昨日ようやく読み始めたのだが、このタイミングというのも運命だ。
数日前のわたしは動画漬けで視覚が満たされまくっていたので、小野氏の語るイギリスの風景になびかなかったんじゃないかと思う。
「ああそうかい。でもわたしは本から遠い世界を想起するより、動画見て手短に満足するわ」って。
孤独で静かな今だからこそ、楽しんで読めてる。
感覚が研ぎ澄まされている、という感覚があって、それは土鍋で米を炊くときも感じた。
わたしは普段土鍋で米を炊いているのだが。10分中火、10分弱火、火を止めその後20分むらす。たまに水が多いときもあり、弱火〜火を止めるタイミングは時間よりも音で決まる。半端な炊き具合だとグツグツという音がする。パチパチという乾いた音がなれば、それが火をとめる合図。
今日はその音が、やけに鮮明に聞こえたような気がした。
カルスタの本を読むと、影響を受けてちょっとかっこつけた感じの内容を書いてしまうのが恥ずかしいわ。