自分についてあれこれ

わたしは思想研究をしている。

動機はその対象がわたしと近いと思ったからだ。その親近感は言語化できず、ただ感覚的なものとしてあった。彼について言語化できないということは、同時に、わたしにとってわたしは未だ他者だということでもある。だからわたしはわたしを知りたくて、研究を始めた。

対象との近さを感じるものの、その近さを言語化できない。だからわたしはいつも飛躍する。言語化を放棄して、対象と一致しようとする傾向がある。だがそれでは対象を信仰ことはできても、研究することはできない。

冷静になって言葉を探しては、いつのまにか没頭して一体化していく。そしてまたそんな自分に気づいて、研究者としての素質のなさを自覚するとともに、自己を知らないまま死んでいくかもしれないことに焦る。その繰り返し。

わたしはその堂々巡りを楽しむ。わたしは自分の人生が不十分だということが楽しい。