少し大人になったほしいコスメリスト
虹色に輝くセロファン、多色ラメ、
ガラス玉をカチ割ったようなきらきら
夏を前にわたしはそういうものに惹かれるようになっていて、化粧品なんかもそういった系統のものを集めていた。
しかし夏が訪れてリアルに感じたのは、わたしの夏はキラキラしていないということである。というかわたしは夏に限らず、キラキラしているタイプの人間ではない。
幼い頃から五月人形のような子だと言われてきた。
毛量が多いボブで眉毛も濃かったので、ビジュアル的にまさにそれだったし、精神面でもこども特有のキャピキャピしたところがなかった。
保育園のころ、こどもの日の企画として、みんなで一体のでかい鯉のぼりを持って園庭を歩くというのがあった。「鯉のぼりさんをお散歩させよう」そんな謳い文句だったと思う。わたしはみんなの輪に入れなかった。みんなが我先にと鯉のぼりを掴みに行くなか、押しのける積極性はなかったし、「いや、ただの鯉のぼりやん」という冷めた気持ちがあった。五月人形顔のくせにね。
中学生くらいになって、わたしはなぜこんなに冷めているのか、周りを客観的に観察してばかりでなぜ一緒になって騒げないのか、こんなんで残りの人生を楽しんで生きることはできるのかということを悩み始めたが、そのときこの保育園のときの体験を思い出し、「ああ、こんな昔から冷めていたのだな、こりゃ生まれ変わらないかぎり無理だわ」と悟ったのだった。
そういうわけで、わたしがキラキラしていないのは生来の特徴である。
わたしは稲を刈り切った田んぼに作られる藁塚に興奮したりするし、小野二郎の知恵ある生き方に感嘆するのだが、そんな人生のささやかな美しさを表現できるようになりたい。
少し飛躍があるようだが、そう思い至ったことによって、新たなほしいコスメリストが生まれた。わたしにとってメイクは価値観の表現でもあるようだ。
◎アリタウム / MONOEYES
アリタウムは韓国のプチプラコスメブランド。モノアイズがどうしてもモンキーズに見える。
M01オルス
バルス!みたいで面白い名前だが、どういう意味なんだろうか。
楽天ではEARTHと表記されているので、地球なのかな。オルス、なんかギリシア神話に出てくる神のような響き(ゼウスみたいな…)。
これはMACのソバに似た色として韓国で話題になったらしい。モノアイズのなかでも一番人気のカラー。
ずーっと前にソバがほしくて、でも高くて断念したのを思い出し、ジェネリック商品とされるこちらの検討を考えている。
ラメ入りだがさほど主張せず、全体的な印象としてはマット。赤みのないグレイッシュなブラウン、ミルクココアみたいな色。
M08クラシックシャドウ
こちらはよりグレーの強いブラウン。アイブロウとして使いたい。
眉はペンシルでわりとはっきり描くのも好きだけど、ファッションによっては自眉を生かしてふんわり仕上げたいときがあるので、そんなときに活躍しそう。
◎hince / トゥルーディメンショングロウチーク
hinceってご存知だろうか。
こちらも韓国コスメブランドだが、なんと2018年にはじまった生まれたてホヤホヤのブランドである。Qoo10を徘徊して初めて知ったブランド。生まれたてとは思えないほどブランド世界観が確立されてる。
韓国のメイクは、全顔のトーンが均一でリップの彩度が高くって、というふうになんだか抜け目ない印象なのだが、こちらのブランドは抜け感をテーマにしている印象。
少し日本のコスメブランドと感性が似ているな、と感じた。雑誌でいうと『CYAN』のような雰囲気。
ちなみに日本人の方がモデルをつとめているらしく、そんなところからも日本人にも親しみやすく、使いやすいブランドなのかなと想像している。
このチークがまさにわたしの求めていたヌラヌラ。もはやどの色とは言わない。全色ほしい。しいていうならmellowというカラーかなぁ。